2009年7月29日水曜日

建築の見方

先日、若手伊賀焼作家として活躍されているTさんとお話する機会がありました。そのTさんは私とほぼ同世代ですが、祖父・父親と3代にわたって伊賀焼をつくっておられる環境にある中で、自分のかたちを模索されているようでした。彼は、「伊賀焼の伝統的なことを理解せずに、形態だけの操作に終始する今の新しさには興味はない。伝統を素直に理解することが大切だ」とした上で「きれいな器は他の人つくってもらえばいい。伝統をベースに自分らしさを表現するために土に向き合っている」とのお話を聞きました。

陶芸・建築と分野は違えども、ものをつくっていく上での問題意識には、同時代的なものがあると感じずにはいられませんでした。今の時代を包むもやもやとした空気感を共有しているということでしょうか。ちなみに上記の中の「伊賀焼」という言葉を「建築」に置き換えれば、今の自分の想いにまさにリンクしていることに気付きます。少し強引ですが・・・。

わたしは現在、活躍されている建築家にお話を伺う機会あれば参加したり、歴史上重要な建築を再度見学したりと「建築の経験」を増やしていこうと意識しています。それはTさんが言うところの「伝統(建築の歴史)を素直に理解していきたい」ということなのかも知れません。そうすることで建築の見方が変わってきていることを感じ始めています。それは、「好きな建築」が変わっていくことでもあります。自分でもどんな建築が好きになってくるのか楽しみです。理解したあとどのように展開するかが一番大切ですが・・・。

文責:森本 -0144

2009年7月21日火曜日

『好きな建築は何ですか?』


私にとってこの質問は非常に厄介な質問のひとつです。


『好きな』という言葉にたくさんの意味が含まれていて『なぜ好きなのか』という補足説明をしなければ容易に答えることが出来ないのです。いや、補足説明をしても『なぜ好きなのか』というその本当の意味を理解してもらうのは難しいと考えています。


建築を志したのは大学に入ってからで、まだ何をどう目指せばいいかわかっていなかったと思います。

それでも、建築を志した時に大きな影響を受けた建築との出会いがありました。


私が初めて建築を意識したのは「桂離宮」との出会いからです。大学3年の秋、初めて桂離宮を訪れました。それまでに書籍で見てはいたのですが、やはり建築や空間は実際にその場に行って体感しなければわからないもです。なんとも思っていなかった古建築のひとつだった桂離宮ですが、実際に見て初めて気がつくいろいろな美しさに大きく感じてしまったのです。


実はもうひとつ、大きな影響を受けた建築があります。

それはコルビジェの「ロンシャンの教会」です。24歳の冬、東パリ駅から電車でその地を訪れ言葉も通じないのにタクシーで「ロンシャンの教会」を訪ねました。冬の朝の深い霧靄につつまれて小高い丘にその建築はありました。訪問したタイミングが良かったのか他に誰もいなくて、ただひたすらにその場を体感したのを覚えています。

何故このような形がうまれたのか、なぜこれほどまでに光を意識することができる空間なのか、とにかくわくわくしながら舐め尽くすように見学しました。


実際に自分の建築表現にそれらの影響が直喩であらわれることはありませんが、底流にある無意識の意識には大きな影響を持っています。しかし影響は受けはしたのですが、結局、自分が目指すべき建築は、その原点を形づくっているものは、「桂離宮」や「ロンシャンの教会」といった具体的な建築ではなく、その時、その場に居た「自分の感覚」だということを今は強く意識しています。


 いつも言葉を探す。

 それでも最適な言葉が見つからずにもどかしく思うことが多い。

 それでも言葉を紡がなければ意志を伝えることができない。


建築をつくることも同じです。



文責:筑波 - 00070





2009年7月14日火曜日

建築メディアに乗っかってみる。

SCMAとは

進藤(Shindo)の「S」
筑波(Chikuba)の「C」
森本(Morimoto)の「M」
建築家(Architect)の「A」

からなる造語である。
私達は「SCMA」を「スキマ」と呼ぶことにした。

「スキマ」はお解りの通り「隙間」という意味である。
この「スキマ」という言葉ににいろんな意味をかぶせていくこともできると思う。
まずは、メディアの隙間「建築メディア」乗っかってみることにした。
さして有名でもなく、アカデミックでもない私達3人が、

ブログやポッドキャスト、動画配信などといったツールを使って
すでにブレイクしつつある「建築メディア」に乗っかって、

いかなるものを発信できるかを試みてみる。
皆さんお楽しみに!など言いわない、私達が楽しみながら好き勝手やることをここに宣言する。

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私個人的には、今年40歳になった。

1969年生まれのラスト60’sである。

私は1980年代に娯楽文化を身に着け、1990年代に建築文化を身につけた

いまどきの言い方をすれば、いわゆる「アラフォ」である。

個人的に感じるのは、建築業界のアラフォは働き盛りであるにもかかわらず

あまりメディアや建築文化の牽引者として表に出ていないのではないかということだ。

なぜ、そんなことになっているのか、なぜ私はそう思うのか。

私なりに考えると、右肩上がりの経済状況のもと、バブルと言われる時期に

大いに遊び、大いに学び、建築に絶対の自信と理想と希望を持ち社会に出たとたんに崩壊。

そう、いわゆるバブルが崩壊した。

経済の華やかなる時期に建築を学び、経済の衰退と共に建築をつくってきた私にとって

この時期に建築に携わるものとして生きていくことが「不幸」に感じていた。

しかし待てよ?!とここにきて思い始めた。

逆にこの時期に建築した私達は、かけがえのない体験しているのではないか。

最近になってそう思うようになったのだ。

元気がないのは、40という中途半端な年齢からくる「常識」や「モラル」に邪魔され、

かってに「大人しく」なっているからではないのか。

だったら、逆にあの時期、あの年齢でしか味わえなかったバブルの勢いで

あの時のように「やんちゃ」してやろうではないか!と

仕事はどっち道 まじめに取り組む性分なんだから、

おもっきし建築を遊んでしまえ!というわけである。

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そんな折、筑波氏と森本氏、3人で何かやろうという事になったわけである。

みんな、建築好きのいい奴らだ。

このSCMAの活動で、自分の中に取り決めたルールがある。

それは 建築と世代に真摯に向かい合い、建築を遊ぶ である。

そして アラフォ世代をいかに巻き込むか である。

ここでの仕掛けが、どう広がっていくのかが楽しみである。


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文責:進藤 - 00001

2009年7月7日火曜日

090707_SCMA始動

SCMAのブログへようこそ。


関西を中心に建築にまつわる様々な話を独断と偏見を交えながら、SCMAメンバーが情報発信していきます。ブログではテキストベースでの情報をメインにし展開していきます。

【SCMAコアメンバー】


進藤 勝之(アトリエセッテン


筑波幸一郎(筑波建築設計工房


森本 雅史(森本雅史建築事務所