2010年5月31日月曜日

『アニメが語り始める』トピック04

『「あしたのジョー」から学ぶ』

ボクシングマンガの名作『あしたのジョー』が、来年映画化される。それも実写で…。
大丈夫なのか?
主要な登場人物の配役はすでにきまっているらしい。しかし、おそらく誰が演じても、原作のイメージは崩れるだろう。今までの経験から、イメージ通りだというのはまずない。そう思うのは僕だけではないはずだ。製作側の人間も百も承知しているだろう。それでも実写化するということは、たとえそのイメージを崩したとしても、今の若者に伝えないといけないことがあるからだと思いたい。

建築界で丹下といえば「健三」だが、僕たちオッサン世代には「段平」のほうが知名度は高い。丹下段平は、『あしたのジョー』に登場する片目の元ボクサー。個性的なキャラクターなので覚えている人も多いと思う。この段平がボクシングの素質を見抜き、育て上げたのが矢吹丈(ジョー)。この物語の主人公だ。

事件を起こし、少年院で過ごしていたジョーに段平から一通の手紙が届く。ボクシングの技を伝授するためのものだった。ある日、同じ少年院にいたプロボクサーの力石徹と取っ組み合いのケンカになる。段平仕込みのジャブはヒットするが、力任せに放った我流のパンチはむなしく空を切る。そこから、ジョーは学ぶことを求め、猛特訓がはじまる。

テレビアニメで放送されていたのを見たのは、小学生の頃だった。その時分の男の子は、たいてい強い男になりたいもの。自分の非力をしっているから、徐々に強くなっていくジョーに憧れ、夢中になった。といってもジョーの場合は僕とは違い、最初からかなり強かったが…。それでも感情移入できた。同じように修行のシーンのあるジャッキー・チェンの映画も好きだった。どちらも見終わっただけで強くなったような気がしていた。

普通、スポーツを主題としたマンガ、アニメでは、努力した主人公は大事な試合で勝つものと相場が決まっている。しかし、ジョーは健闘するが、負けてしまう。「燃えたよ… 燃えつきた… 真っ白にな…」と試合直後のジョーがつぶやくラストシーンは有名だ。作者は試合の勝ち負けよりも、全力での闘い、悔いのない生き方が重要だと伝えたかったのだろう。

あしたのために燃えつきるほど徹底的にやり切る。
ジョーの生き方は、現代の若者の心に響くのか?


文責:中澤博史-003967


2010年5月30日日曜日

『アニメが語り始める』トピック03

『君は「アニメ ザ・ビートルズ」を知っているか。』

私の記憶が確かならば、私が小学生の3、4年生ごろのことだった。
夏休みということで胸を張ってテレビが見れるとき、アメリカ文化のにおいのする、かっこよくも面白いアニメが私を釘付けにしていった。

「アニメ ザ・ビートルズ」である。

アニメ化されたザ・ビートルズの四人が初期のアルバムの曲を中心にユーモアを交えながら紹介するという内容。私は子供ながらにその曲がかっこよくって、耳で覚えた英語の歌をブラウン管から流れる音楽に沿って一緒に歌ったものでした。手にはギターを真似た箒を持ちサイドステップを踏みながら、あの一世を風靡した「本物のビートルズ」を意識することなく、アニメのなかの「ザ・ビートルズ」の曲を耳で覚えていった。

その当時は国内で製作されるコンテンツも少なく、それ自体も輸入に頼っていたこともあるのだろうが、「トムとジェリー」のような構成で短編で流れる軽快なアニメに心を奪われたものだった。なぜ「アニメザ・ビートルズ」が再放送されないのか。放映権や放映費用の問題があるのだろうが、少し寂しい気がするのは私だけだろうか。

本物より先にアニメから「ザ・ビートルズ」を知った人はどれくらいいるのだろう?
君は「アニメ ザ・ビートルズ」を知っているか!?

私は知っている。
http://www.youtube.com/watch?v=evxDbr4zm9E



文責:進藤勝之-003927

2010年5月28日金曜日

『アニメが語り始める』トピック02

『スピンオフするガンダムの限界』

「ガンダムお台場に立つ」


ファーストガンダムが放送されてから30年目の2009年夏、お台場に実寸大のガンダムが登場した。

中学生の頃バレー部だった僕はクラブ活動の休憩時間に熱く「ガンダムは今までのロボットアニメとは違うんだ!」と力説する秀才少年の鈴木君の熱弁を聞いていた。僕たちが初めて見たガンダムはたぶん再放送だったと思う。

それまでのロボットアニメが勧善懲悪をベースにしていたのに対して、ガンダムも多少なりともその傾向はあるけれど、現実世界に近い状況を、僕たちが体験しそうな近未来を描いていた。

でもその鈴木君の熱さは伝わらなかった。
当時のスポーツ中学生男子はあだち充のコミックス「みゆき」のかわいさに夢中だったからだ。こんな妹が突然現れたら最高!と思っていたからだ。

ガンダムはこのファーストガンダム以降、正式な続編やスピンオフストーリーが数多く製作されて最新作『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』に至っている。さすがに31年目を迎えても新作が作られるのはやはりファーストガンダムの作品力だろう。

ガンダムは当初、中高生をターゲットにスタートしたはずだった。今やそれは30年近くたったわれわれ世代をも含めた商業ビジネスを中心に展開している。それが正しいのかどうかはわからない。

歌舞伎や能、文楽なども最初は庶民の楽しむ物語だった。今やそれは伝統芸能と呼ばれ、国の文化として存在している状況だ。

ガンダムもあと70年くらいたったら、スピンオフしすぎて何がなんだかわからなくなるか、「ファーストガンダム再演」などといわれる国の重要無形文化財としての伝統アニメになっているかもしれない。

ちなみに小説のファーストガンダムではセイラさんとアムロの濡れ場がありましたなあ。。。


文責:筑波幸一郎-003888

2010年5月27日木曜日

『アニメが語り始める』トピック01

『怪物くんは繰り返す』

「あれって漫画なのアニメなの?それとも嵐!?」

「怪物くん」は藤子不二雄Aさんのギャグ?漫画作品です。何しろ今見てもキャラがすばらしい!
主人公の怪物くんをはじめドラキュラ、オオカミ男、フランケン。それぞれ個性的な衣装と性格付けがなされており、単なる日常の事を切り取って騒動に発展していくだけなのですが本当に面白くできています。

漫画は60年代の連載で、80年代に入ってからカラー放送が始まり「カーイカイカイ、カーイカイカイ…」ではじまるよく分からないOPソングをTVの前に座り込み一緒に歌っていた記憶があります。ちなみに私の息子の名前は海尚(カイ)です。

そんな息子はジャニーズの嵐が好きで最近放映が始まった実写版「怪物くん」を見ていたりします。そんなとこで親子繋がりあり・・・。

そう60年代にスタートした漫画が媒体や形態を次々と変えながら今の世代にまで繋がっているのです。作者にとっては原作とは違うものになってしまっているかも知れませんが、怪物くんたるフレームがしっかり組めていれば多少デティールが変化しても紛れも無く「怪物くん」なのです。

しかしこんなことも言えます。「あぁ、またリメイクね」ネタがないとも言えます。これはハリウッド映画、TVドラマしかり…流行、廃り繰り返しのオンパレード。

よって後でつくる立場の人たちは何かに似ている節があるのも当然かも知れません。だからこそ作り手の表層部分だけで捕らえずに本当に伝えたいことがどれだけ出せたのかが大切なのだと痛感します。

現代建築が溶け出していく一方で、1950、60年代の暗い影を映しだす力強い建築のありよう。あらためて深く考えさせられます。もしあなたならこの怪物を受け入れて繰り返しますか?今見ると原作の漫画版いいですよね。

文責:牧野 高尚-003835



2010年5月26日水曜日

『アニメが語り始める』トピック00

『アニメが語り始める』浮かび上がる建築

プロローグ 「そういえば見てたよね。/そうそう!」

SCMA企画第一弾『建築をめぐる22の寓話』から早くも3ヶ月たちました。あの時はたくさんの人に参加して頂きホント感謝感激でした。ありがとうございました。

討論会中に年3回程度イベントを企画していきたいと発言した言いだしっぺの牧野が第2回プロデュースを担当することになりました。

さてどうするか。

実は別のイベントに某アニメ監督を呼ぶ企画が持ち上がっていることもあり、建築とアニメに沸々と興味がわいてきたのがちょうどこの時期でした。更に急速に熱を帯びてきたこのハートに油を注ぎ込んだのは、興味の対象であった三鷹の森 ジブリ美術館を見学して来たことです。

当日は生憎の小雨が降る中でしたが、平日にもかかわらずたくさん来場者がおり結構な賑わいでした。これだと完全予約制も頷ける(1日2400人まで)
そして入ってすぐに気がついたのは順路が決まっていないことでした。いわゆる放置プレイ状態。好きにしていいんですね。

この美術館は主には子供ターゲットの美術館ということでしょうが、全くもって一切手抜きなし。よく見れば展示の背景画が押しピンで留めてあるのにビックリ!飾らない本物の展示です。後でスタッフの方に聞いたら特殊な印刷で本物のごとく印刷ものを壁に展示してあるそう。でも触ろうと思えば触れます。そこがすごい。

全部丁寧に見学をしていたらなんと3時間も経っているではありませんか!大人も子供も存分に楽しめて1000円はありえない~。また子供がたくさん来館しているにもかかわらず、泣く子は一切なし。更に国際色豊かなお客さんをみて、アニメ(映画)が言葉や形の制約を飛び越へ作り手の伝えたい「魂」が十分に届いていることを目の当たりに受けスゴク感動しました。

もちろんその後、ハイテンションな気持ちでスタジオジブリに向かったのは言うまでもありませんが・・・。そんな出来事があり、今回のイベントの企画ということで私の頭の中ではとっても旬な「アニメ」を軸に展開できないかと思ったのです。

その先に気付かずに潜んでいるもの・・・。

まだ答えなど見えてはいません。ただ原体験として私たちが幼少期に体験した住まいに関する思いと知識。小遣いなくて漫画が買えず無料配信のTVアニメを貪るようによく見ていたこと。

今思うとそこには建築であろうがアニメであろうが作り手の伝えたいことがしっかりと盛り込まれており、私たちはそれを自然な形で受け取っていたのではないか・・・。

その原体験を踏まえた私たちがまさに今、建築に携わっている。そこには人として、とっても大事なことが潜んでいるような気がします。

こんな自分に対して気付きであったアニメをテーマにトピックを25個フラットに並べてライブ討論会をします。前回と同じく打ち合わせ一切無しの新鮮なネタで勝負します。

そして、開催前日まで続く5人によるある意味くだらないけど何か透けて見えてきそうなブログが日々更新されていくのです。

みなさま乞うご期待!

文責:牧野高尚-003818


2010年5月20日木曜日

イベント告知


トークセッションやります。
“浮かび上がる建築”「アニメが語り始める」
-----
アニメから見えてくる
アラフォー建築家の過去と未来。
-----
この不況下、不況知らずで頑張る
5人の建築家の生き様をぜひ
「 楽しんでください 」
きっと何かがつかめるはず。
-----------------------------
「アニメが語り始める」
平成22年6月25日(金)
アリアフィーナ大阪ショールーム
10:00~20:00 【企画展】
18:30~20:00 【討論会】