2010年7月2日金曜日

浮かび上がる建築 肆

『アニメが語り始める』を終えて
浮かび上がる建築 肆


「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをゆかいに ゆかいなことをまじめに」。先日亡くなられた井上ひさしさんの有名な言葉だ。今回のイベントのねらいは、この中の「むずかしいことをやさしく」伝えることだったと思っている。

僕たちは、テレビ普及後の世代だ。幼少の頃よりアニメに親しみ、そこからさまざまなものを学んだ。アニメには、小さな子供にも理解できるようなメッセージを伝える力がある。その力を借り、建築を語る。建築を建築を用いずに語る試みだった。

建築は、アニメと同様に人の手でつくられる。共通する部分は多いはずだ。建築と結びつくようなアニメを語れば、自然と建築が浮かび上がってくる。それが、分かりやすく建築を語ることにつながる、と今回の企画をイメージした。

アニメから影響を受けたものごとには、大きく分けて二つある。一つはアニメの作品内容から教えられたモノ。もう一つはそれを伝える手段から学んだコト。しかし、影響を受けたモノからも、コトからも、僕が建築と結びつけることができたのは、どのように考え、表現することが大切かというコトだった。

イベントでは、「建築」という言葉そのものは、使っていたかもしれない。しかし、「建築するというコト」を「建築」という言葉を用いずにアニメを通して語ることは、できていたのではないだろうか。「むずかしいことをやさしく」伝えること。今後もそれを続けていくことが必要だと思っている。


文責:中澤博史-004719

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