2010年3月5日金曜日

『そして、すべては寓話で終わる』参


分かりやすく語ること

建築家の文章には、難解なものが多い。一度読んだだけでは「?」な内容で、もう一度読んでみる。それでも理解できないものもあるが、「なんだ、そんなことを言っていたのか」と分かる場合もよくある。言葉そのものが難しいので、それに伴い内容も分かりにくくなってしまっている。プロ向けに発信しているので仕方ないのかもしれないが、もう少し理解しやすい言葉を使って欲しい、とよく思う。講演会で語られる内容も同様だ。

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一方、一般の人に向けた建築雑誌や書籍は、当然だが分かりやすく表現されている。「収納の工夫」や「すてきなキッチン」など、家を建てようと考えている人にとって、すぐに役立つ情報で満載だ。しかし、建築の本質を語っているものは、残念なことに少ないのが現状だ。もう少し一般の人にも理解できる建築の話があってもいいと思っていた。

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『建築をめぐる22の寓話』では、建築とは無関係のトピックスから建築について考え、語る試みだった。来場者は、トピックそのものに親しみをもち、それをどのように建築につなげるのか興味をもたれた方が多かったと予想している。今回は建築関係者に対しての企画だったが、分かりやすく親しみある言葉を使った建築の話は、きっと一般の人にも受け入れられるのではないだろうか。
タイトルにある「寓話」とは、道徳的な教訓を伝えるための短い物語・たとえ話である。『アリとキリギリス』や『北風と太陽』などのイソップ物語が有名だ。誰もが知っている動物や自然現象をもちいることで、物語の世界へすんなりと導き、教訓を理解しやすいものにしている。そんな企画になっていたと理解している。

『建築をめぐる寓話』を終えて

文責:中澤博史-03187
写真:田籠哲也

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