2010年3月6日土曜日

『そして、すべては寓話で終わる』肆


時代を読めるか

建築に関する時代的状況への違和感から始まった、「建築をめぐる22の寓話」展とトークショー。

当日の討論は、何かの方向に集結していくのではなく、パラレルに並べられたテーマについて断片的に語っていくという形になった。ひとつひとつの断片をつなぎ合わせることで、建築を取り巻く状況がおぼろげながら輪郭として見えてくるのではという期待を胸に・・。あくまでも、思考のきっかけを与えることに主眼を置いていた。

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トークショーが終わり、どこへ向けての問いかけだったのか、どこまで批判性があったのかと自問自答しているときに、大島健二著「建築ツウへの道」を読んだ。構成は、今回のトークショーに近い。建築にまつわるトピックが並列して書かれ、読後に何か建築ツウになった感じにさせる本である。建築のもつ魅力・現状・問題点を簡潔にまとめられており、一般の人にも十分理解でき、建築に携わる人間でも楽しめる内容になっている。

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経済・社会・文化などの文脈で建築に関わるトピックを語っていくことが、建築を時代から孤立させない方法だということをこの本が教えてくれる。そのことにより時代的状況を浮き彫りにさせ、批判性を持ち得ているだろう。次への一手が見えない状況のなか、時代を読むことが必要とされている。この企画が今後のそれぞれの活動の可能性を拡げるものになっていければと思っている。


文責:森本雅史-03225
写真:田籠哲也



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