2011年4月20日水曜日

『拝啓、十年後のあなたへ』本物をめざして

建築がサブカルチャー的に扱われるようになって久しい。

小さな差異をこれでもかというこだわりで見せつけて、そこに過大評価がつけられていく出来レースがおこなわれている。
「いまさら建築なんてもうないさ!」といいながら、袈裟懸けに斬りつける、ひねくれた建築へのスタンスは、いつもイライラする感覚があった。
薄くて軽くて記号的な建築なんてくそくらえだ。

確かに流行言語、メディアの先端を目指す事は、同世代の過当競争を勝ち抜くための便利な手段ではあるけれど、そろそろ本気で本物を生み出さないと、本物の生存競争に生き残れない。
ほんものを知らない世代が生き残れるはずないのだから、老害世代からもっと昔話を聞き出し、醜いくらいに語り部として伝えてもらわなければと思う。

建築設計のつらいところは、つくってなんぼのところがある。

10年後、じぶんがどれだけの建築をつくりだしているかは皆目見当がつかないけれど、乱暴な言い方をすれば、重力に根ざした、重くて存在感のある建築をつくりたい。
その重さ、存在感の中に、どれだけ広大な空間がつくれるかに挑戦し続けたいと思う。


文責:筑波幸一郎 -7943

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