2011年4月22日金曜日

「拝啓、十年後のあなたへ」十年後へ繋がる想い

「今、考えていることが十年後に繋がっている」そう信じ、今私が意識していることを出し切ることを今回の企画展の目標にしたいと思います。

地方で活動する私が今考えていること。
それは、建築単体のことだけを考えているのではありません。むしろ単体以外の事を考えざるを得ないというのが現実なのかもしれません。地方に共通する問題点、少子高齢化、医療崩壊、ニュータウンの高齢化、農村部の過疎化、旧市街地の衰退・・・。その中で当然、設計にたずさわっている人間ができることは限られています。それを承知で視野を広げること、地方のしくみに対することへの興味を持つことが大切ではないかと思っています。そのことが、ただでさえ仕事の少ない地方で生き残っていく術ではないかと思い始めています。仕事を待つのではなく探し、つくっていく姿勢。そのためのベースつくりの時期だと思っています。仕事も種類も変わってくるのかもしれません。建物をつくることだけが建築ではない。様々な与条件、問題点を整理し組み立てていくこと、構築していくことも建築ではないかと思います。

私の親は、設計事務所を当時造成されたニュータウンに開設し、街の勢いと共に忙しい中にやりがいを持って仕事をしてきました。そのいい残像を持って私もこの道に進んできました。当然自分も独立すると10年ほど組織事務所で働いたのち、なんとかやっていけるだろうと楽観的な考えで地元に戻ってきました。現実は厳しいものです・・・。しかし考え方によっては、仕事が少ない状況であることが、元気のない地方において自分自身のやり方を考えるきっかけになったように思います。「自分でできることは自分でする、出来ないことは集まってやる」そのことが地方を他人任せにしない一番の姿勢だと思っています。まずはニュータウンで生まれ、仕事をしている自分が郊外住宅地の状況・課題をより知ること、そしてそこで住むことの楽しさを形にすることを引き続き続けていきたいと思っています。

思い返せば大学院の修士論文は、「戦後の東京計画における一考察」というタイトルで都市的状況から社会の時代性をさぐることがテーマでした。大都市を俯瞰するのはなかなか難しいですが、小さな地方都市なら可能かもしれない。その中から普遍性を見つけていきたいと思います。建築が個として閉じてしまうのではなく、少なからず社会・歴史の中で影響力を持ちえるというイメージを持ちつつ、いい意味でも悪い意味でも、十年後も人工衛星からみたような俯瞰的視点をなくさずに仕事していてほしいな。 文責:森本雅史-8004

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