2010年1月27日水曜日

『建築をめぐる22の寓話』トピック03


師匠ー師弟論


私は学生から建築一筋ということではなく、全く違う世界から「建築」に宇宙人のごとくやってきました。

もとの世界は「映像」という世界です。18歳で訳も分からずその世界に飛び込んだ為、今でいう「就活」すら経験せずとりあえず「働かしてくれ~」状態でした。

業界用語の欠片も知らず身寄りのないこんな僕でしたが、心温かい人たちに支えられて少しづつ仕事にありつけていきました。

別に会社に属していませんでしたので、フリーの助監督のI先輩に大変かわいがってもらっていました。それこそまるで家族のようでした。


しかし、そこでの先輩との関係はあくまで「先輩-後輩」であり、兄さんのように慕っていたのです。訳があって映像の世界から、こちら(建築)の世界にやってきた時に設計事務所では所長のことを「先生」と呼ぶのでした。


初めはなんだか違和感がありましたね。

初めの事務所ではそう感じていました。


その後、その事務所をやめてなんとなく独立っぽくなっていた時に建築家のI先生との出会いと交流があり、そのアトリエの仕事を手伝うことになりました。


しかし、アトリエに入所ではなく、あくまで「助っ人」としてです。設計と現場監理までさせてもらい2年間ほど御世話になりました。

そこでのI先生との遣り取りは私の思いの強さだけかもしれませんが、「先生」と呼んで(I先生はさんでよいと言っていたが)、ある意味「師匠―師弟」の関係であった思います。しかし、このことは本当に気持ちのいいことで今でも大切にしていることです。


じゃあ独立する前、師匠がいないと困るのかといえば全くそんなことはないと言えます。だって会社でも尊敬する人が何人かはいるでしょう?(私は勤めていないので分かりませんが…)


やさしいだけじゃなく本当に尊敬できる人。


そのことが分かっていれば、なんてことない話ではないでしょうか。

また作風ということもありますが、そんなんどこかが似ていて当たり前だと思うし、それより師匠の何を「受け継ぐ」かの方が大事ですよね。絶対に弟子は師匠と同じにはなれないと思います。当然、自分の可能性にチャレンジするでしょう。


まあ、事務所によって違うかもしれませんけど。だから今から「心の師匠」を創ればいいのです。そういうことで安心あんしん。



文責:牧野高尚-01913


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