2010年1月28日木曜日

『建築をめぐる22の寓話』トピック04


石川遼のいない建築界



弱冠18歳の若さで2009年のプロゴルフ賞金王に輝いた石川遼くん。数々の最年少記録を塗り替え、賞を総なめにしたのは記憶に新しい。以前から現役選手の中ではメディアへの露出度が圧倒的に多く知名度があったが、ここにきて名実ともにトップに立った。



華やかなウェアに身を包み、果敢に攻めるプレーで観客を魅了する。「ハニカミ王子」といわれた笑顔は爽やかで、記者への受け答えも謙虚で好印象。見て楽しませ、心に言葉が響く。国民的スターだ。



減少傾向にあったゴルフファンやゴルファー人口が、遼くんや女性プロの影響でふたたび増加していて、業界は活気づいている。子供ゴルフスクールの希望者も増えているらしい。親バカだと言われても子を持つ親としては、遼くんに重ね合わせて期待する気持ちがよく分かる。



建築家にも、魅力ある人はいる。奇抜だがセンスの良い服を着ている者もいる。イケメンもいる。しゃべりが上手で面白いヤツもいる。でも、残念ながら建築界にそこまでの活気はない。



なにが違うのか?

ゴルフをはじめスポーツは娯楽性が高く、興味を持つ人が多い。スターが出やすい環境にある。さいわい建築も奥深くて面白い。でも、それがうまく伝わっていないのが現状だ。



まずは簡単な言葉で語ろう。そして裾野を広げよう。そうすれば、興味を抱く人が増え、より活気づくはずだ。その環境が整って初めて、遼くんのようなスターが生まれるのかもしれない。建築界はその可能性を秘めている。



文責:中澤博史-1945



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