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『建築をめぐる22の寓話』トピック11
キムタクとタマちゃん
昨年夏ごろから『タマホーム』のCMが『みのもんた』から『キムタク(木村拓哉)』に変わった。ターゲットをそれまでの年配から子育て世代へと移すのが目的なのか? 庶民的なイメージを払拭し、オシャレなイメージに変わろうとしているのか?
ディープ・パープルの曲をバックに室内を歩き回るキムタク。サンドバッグを打ち、ボーリングの玉を投げた後、パソコンの前に座る。映し出された画面には一通のメールが・・・「はじめまして。タマホーム社長の玉木康裕(タマちゃんです)です」訳が分からないと言わんばかりの表情で「タマちゃん?」とつぶやいた直後、「タマホ~~~~~~ム♪」と再びバックミュージックが流れる。幸せそうな家族像や住宅の特徴などいっさいアピールせず、これが住宅メーカーのCMだったのだと分かるのは、ラストに激しくシャウトする社名のみ。しかし、意味不明であるにもかかわらず、なぜか強烈なインパクトをもって脳裏に刻まれる。
『タマ』という名前は日本人には馴染み深く、例をあげればキリがない。多摩川に現れたアザラシや『ちびまる子ちゃん』の友だち。とりわけ、ネコの名前には多くあり、『サザエさん』の家にもいるし、駅長を務めているネコだっている。『タマホーム』が決して覚えにくい名前ではないが、『タマちゃん』のほうが遥かに覚えやすく、そして親しみがわく。意味不明の内容と相まって知名度は確実に向上したのではないだろうか。低価格を売りに販売数を延ばしてきたタマホーム。「ハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホーム♪」一度聞いたら忘れられない。以前から知名度やブランド力の向上に力をいれていたのが良く分かる。
知名度の高いものほど信頼できるという考え方を多くのユーザーが持っている。ブランドによって安心を得る者も多いだろう。僕自身もそういうところが多分にある。でも、本当に自分にとって必要なものや価値観に合っているものが何なのかを考え、選択できる目を持ちたい、と思う。タマホームの住宅に限らず、どんなものでも知名度やブランドによって良く見えてしまう目を改めたい。
文責:中澤博史-02228
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