2010年2月17日水曜日

『建築をめぐる22の寓話』トピック19


エッジから攻める

子供というのは、遊びながら食べるのが好きである。先日も、『バームクーヘン』を周りから年輪(?)をはがすように食べていた。親として軽く注意はしたが、強くは叱れない。自分自身にも思い当たる節があるからだ。

僕の場合は『コロン』だった。 円筒形のクッキー生地にクリームが充填されているグリコのお菓子だ。中のクリームを残して外側を先に食べるのが好きだった。カッコつけて言うと「エッジから攻める!」のだ。そうすると残ったクリームの比率が大きくなり美味いのだが、それよりもそんな食べ方が楽しかったのだ。

建築をその周辺から考えて創造すると面白いものが出来るとある先輩建築家に聞いた。建築の周辺とは、ランドスケープ、プロダクト、土木などのこと。何を主題として建築をつくるかを考えるとき、それを建築の中から見つけるのではなく、周辺からの視点を加えることで魅力のある建築が生まれるというのである。話が難しいのでかいつまんで言うと「エッジから攻める!」のだ。

『コロン』の場合、外側を先に食べる食べ方とは反対に、中のクリームを「シュポッ」と勢い良く吸い込むようにして食べる食べ方もある。「よいこのみんなはマネしないように!!」な食べ方だ。これもまた楽しいのである。これは、言うなれば「エッジを攻める!」だ。

近年、建築家による様々な分野への進出が盛んである。建築を設計する能力は、他の分野においても同様に発揮することができるからだ。分かりやすく言うと「エッジを攻める!」のだ。

「エッジから攻め」そして「エッジを攻める」。建築においては周辺から考えることも、周辺分野に進出することも、領域を広げることができて初めて達成できる。小さな世界に閉じこもらず、その壁を取り払おう。

『建築をめぐる寓話』まであと5日


文責:中澤博史-02600



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