『アニメが語り始める』を終えて
浮かび上がる建築 壱
なにがしたいのか?
それが今回の企画展を終えての自らの感想だった。
建築を語る今の人々の、思想やら批評・哲学や建築論に乗れば難解なことばを用いて建築を語ってもいいという傲慢な態度がまかり通っているのが許せず、常に感じていた欲求不満があった。
だから今回はインサイダーでもアウトサイダーでもなくオン・ザ・ボーダーの立場でしっかりと語ろうと思っていたのだけれど、思いのほか「建築」を「建築を用いず」に語るというルールに縛られてしまった。
SCMAの企画展の言い出しっぺである僕の思いと他のメンバーの思いの間に大きな温度差があることも今回の企画展でわかったことだった。愛を語っても片思いのままで通じていない恋愛と同じで、仲間にすら伝わらない「思い」、言葉足らずの自分に大きなショックを受けたのは事実である。
さして意味はなかったのだけれど、『建築を建築を用いずに語る』ということ、『建築を一般化する』という僕からの具体的なコトバが、かえってイメージを共有出来なくした原因だったようだ。
それでも今回の企画展はとてもいい結果を産んだと思う。建築に対する「立ち位置」を明確にしなければならないという、ごく当たり前のことが明らかになったからだ。
具体的に何がしたいのか?という問いかけをメンバーから受けた。
それは、建築が駄目になった一番の理由を明快にし、「建築」と称して高所から語る世界を打破して、知的好奇心を持って、役に立たないモノ・コト・ケンチクを面白がる状況をつくることだ思っている。
その思いが、僕らから次世代へと伝えるべき課題だと考えていて、そうしなければ無意識の内にクリエイティビティが消滅してしまうという危機感を持っている。
けれどまだまだその大前提の課題も「共有」されてはいない。
次回の企画展から僕とメンバー・来場者との本格的なバトル&トークライブが始まると思って欲しい。
文責:筑波幸一郎−004580
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